「ひまわりと子犬の7日間」公開中
2013.04.17
もうね、年をとると、動物とか子どもが主役の映画はダメなんだよ、ほぼ泣いちゃうから。
…と思いつつ試写に出かけた「ひまわりと子犬の7日間」。
©2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会 ※画像転載禁止
松竹配給 3月16日より札幌シネマフロンティアほかで上映中
公式サイト=http://www.himawari-koinu.jp
ある日、生まれたばかりの子犬と母犬が保健所に収容されてくる。
人間不信の母犬は、近寄る人すべてを威嚇し、なつかない。
職員の神崎彰司(堺雅人)は里親探しに奔走するが、
人になつかない犬は、受け渡しができない。犬たちの命の期限は刻々と迫り…。
ずばり本作の勝因は「宮崎弁」である。
ゆったりとした独特のリズムが、
ペットの殺処分というシビアな現実を描くストーリーに対して、非常に効いている。
関西弁でも標準語でも、たぶんこうはいかない。
観たときは、つい先日までドラマ「大奥」で京都弁を話していた堺が
今度は流暢な宮崎弁を話すことに驚き、すごいな、と思ったのだが
後日、宮崎出身だったと知り納得した。ネイティブだったのか。
早稲田の演劇部出身の印象が強かったので、なんとなく関東出身だと思い込んでいたんだな。
でだ。
写真の犬たちと、2人の子役も出てくるので
どう考えても犬と子どもに泣かされるのだろうと思っていたが、違ったんだよね。
結局は、堺の演技にグズグズに泣かされたわけである。いやー、うまいな。と改めて思った。
ていうか、俳優としてちゃんと「仕事」してるよね、誠実に。
演技派層の薄い30代男優の中で、ひっぱりだこなのも、よくわかる。
あ、個人的には全然好みではないのだが(笑)
脇の中谷美紀は相変わらず隙なくよかったし、オードリー若林も、意外に作品になじんでいた。
監督・脚本の平松恵美子は山田洋次の愛弟子だそうで、さすがの安定感。次作が楽しみだ。
「ひまわりと子犬の7日間」
3月16日 公開
2003年日本松竹1時間57分
平松恵美子監督・脚本
堺雅人、中谷美紀、でんでん、若林正恭ほか 出演
WORD WORK 矢代真紀(やしろまき)
1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。