映画のミカタ

「ひまわりと子犬の7日間」公開中

もうね、年をとると、動物とか子どもが主役の映画はダメなんだよ、ほぼ泣いちゃうから。

…と思いつつ試写に出かけた「ひまわりと子犬の7日間」。

©2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会 ※画像転載禁止

松竹配給 3月16日より札幌シネマフロンティアほかで上映中

公式サイト=http://www.himawari-koinu.jp

 

ある日、生まれたばかりの子犬と母犬が保健所に収容されてくる。

人間不信の母犬は、近寄る人すべてを威嚇し、なつかない。

職員の神崎彰司(堺雅人)は里親探しに奔走するが、

人になつかない犬は、受け渡しができない。犬たちの命の期限は刻々と迫り…。

ずばり本作の勝因は「宮崎弁」である。

ゆったりとした独特のリズムが、

ペットの殺処分というシビアな現実を描くストーリーに対して、非常に効いている。

関西弁でも標準語でも、たぶんこうはいかない。

 

観たときは、つい先日までドラマ「大奥」で京都弁を話していた堺が

今度は流暢な宮崎弁を話すことに驚き、すごいな、と思ったのだが

後日、宮崎出身だったと知り納得した。ネイティブだったのか。

早稲田の演劇部出身の印象が強かったので、なんとなく関東出身だと思い込んでいたんだな。

でだ。

写真の犬たちと、2人の子役も出てくるので

どう考えても犬と子どもに泣かされるのだろうと思っていたが、違ったんだよね。

結局は、堺の演技にグズグズに泣かされたわけである。いやー、うまいな。と改めて思った。

 

ていうか、俳優としてちゃんと「仕事」してるよね、誠実に。

演技派層の薄い30代男優の中で、ひっぱりだこなのも、よくわかる。

あ、個人的には全然好みではないのだが(笑)

 

脇の中谷美紀は相変わらず隙なくよかったし、オードリー若林も、意外に作品になじんでいた。

監督・脚本の平松恵美子は山田洋次の愛弟子だそうで、さすがの安定感。次作が楽しみだ。

「ひまわりと子犬の7日間」

3月16日 公開

2003年日本松竹1時間57分

平松恵美子監督・脚本

堺雅人、中谷美紀、でんでん、若林正恭ほか 出演

矢代真紀

WORD WORK  矢代真紀(やしろまき)

1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。