映画のミカタ

「映画 ひみつのアッコちゃん」

「ひみつのアッコちゃん」とはニアミスな?人生を送っていて

小さい時に誰かが買ってくれたアッコちゃんのパズルを持っていたことと、

「テクマクマヤコン」のコンパクトのオモチャを持っている子が

まわりにいたかもね、くらいな記憶しかない。

 

赤塚不二夫による原作マンガが雑誌「りぼん」に掲載されたのは、1962-65年と68年-69年。

アニメの放送が69-70年と88-89年と98-99年。

いずれのタイミングも、私は生まれてないか、誕生まもないか、

もしくはアニメマンガをもう観なくなってからか、であり、

「子ども」のときにどっぷりハマらないまま、過ごしてきた。

 

どんな話かはなんとなーく知っている程度だったので、このたびの映画化を機に、観てみることに。

ⓒ赤塚不二夫/2012「映画 ひみつのアッコちゃん」製作委員会 ※画像転載禁止

松竹配給 札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほかで9月1日(土)より公開中

公式サイト=http://www.akko-chan-movie.com

 

主人公はアッコこと小学生の加賀美あつ子。

パパに買ってもらった宝物の鏡が壊れて沈んでいると、

その夜、サングラスに黒スーツの男(香川照之)が現れ、アッに魔法のコンパクトをプレゼントしてくれた。

呪文をとなえると何にでも返信できるコンパクトで、22歳の大人の自分(綾瀬はるか)になったアッコは、

同級生たちと出かけた遊園地で出会った早瀬(岡田将生)と化粧品売り場で再会し…。

 

綾瀬と岡田という顔合わせは「プリンセストヨトミ」の時と同じで、またか、という感が否めない。

が、「漫画の中から抜け出してきた王子キャラ」であれば、今もっとも適役なのは岡田であり、

「コメディの才能がある人気若手女優」といえば、迷わず綾瀬なのであり、

まあ仕方ないか、という気もする。

 

いま売り出し中の剛力彩芽や武井咲と違い、

綾瀬はグラビア界から出てきて、ブレイク前は脇役も結構な数をこなしてきた。

今まで私が見てきた中で、彼女のベストアクトは

ドラマ「ホタルノヒカリ」の宴会シーンで見せた「ドジョウすくい芸」だ。

めっちゃカワイイは笑えるは、それはもう秀逸であった。

コメディエンヌとしての資質が高いことが証明されたシーンである。

 

この作品の番宣で出演したバラエティでも、自分をものまねする福田彩乃と楽しそうに共演。

まったく物おじせずに「自分のものまねをものまね」していた。

ふつうの20代女優が恥ずかしがってやらないことを

躊躇せずにやってみせ、しかもそれがカワイイため、まったくマイナスにならないのだ。

容姿だけではなく、これが彼女の「高感度」の一番の要因だと思う。

 

そんなわけで「アッコちゃん」で中身は小学生のヒロインを演じても、無理がない。

そして脇には、ほんっと何にでも出るよねあんたたち、なカガテルと大杉漣。

 

子どもの頃の気持ちなんて忘れちゃったな、という大人に観てほしい、ほっこり系のラブコメである。

矢代真紀

WORD WORK  矢代真紀(やしろまき)

1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。