「アウトレイジ ビヨンド」公開中
2012.10.27
公開から時間が経ってしまったけど、監督のたけし自身、
今回はかなり番宣でバラエティに出ていた映画「アウトレイジ ビヨンド」。
ストーリー的には前作「アウトレイジ」の続編なので、観ていない人は予習したほうが、より楽しめると思う。
ⓒ2012「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会 画像転載禁止
ワーナー・ブラザース映画配給 R15+
札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほかで10月6日より公開中
公式サイト=http://wwws.warnerbros.co.jp/outrage2/
関東一円を仕切る暴力団【山王会】の熾烈な抗争は、
兄貴分や親分をも出し抜いた加藤(三浦友和)が制し、会長の座に就いた。
若頭には大友組の金庫番だった石原(加瀬亮)が抜擢され、
古参幹部の富田(中尾彬)や白山(名高達男)らは脇に追いやられている。
組織内のゆがみに目をつけたマル暴の刑事、片岡(小日向文世)は、
鬱憤を募らせる古参幹部に、加藤を会長の座から引きずりおろせとそそのかす。
そして片岡は、関西を代表する暴力団【花菱会】の会長布施(神山繁)と
若頭西野(西田敏行)、幹部の中田(塩見三省)に大阪で面会し、
山王会への不満について相談を持ちかけよう、と動く。
そこには、東と西の暴力団同士に揺さぶりをかけ、一挙壊滅を企てる警察の意図が含まれていた…。
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登場人物のほとんどがヤクザ。もちろん、ドンパチものである。男ばっかりの、ど迫力。
全員ドスの効いた声でしゃべるのであるが、
テレビの番宣を見る限り、キャストもたけしもほぼ全員が
「一番怖かったのは塩見さん」という意見でまとまっていた。本当にそのくらい、顔が怖い。
昔、東急文化村ですれ違ったナマ塩見さんはたいそう格好良かったが、
この役の彼に街中では会いたくない。
たけしはデビュー作「その男、凶暴につき」(1989年)以来、
コンスタントに暴力をテーマにした作品を発表している。
私はその中で「ソナチネ」(1993年)が一番好きだが、その乾いた感覚というか、
被写体と一定の距離感を保ちつつの徹底したバイオレンス描写は、昔も今も変わっていない。
なぜ暴力をテーマに選ぶのか、監督に聞いたことはないのでまったくの推測でしかないが
ビートたけしの生業が【笑い】である以上、
そこに絶対登場してこないのが、【常に死と隣り合わせの人生】ではないかと思うのだ。
言わば対極にあるもの同士に、同じ娯楽界の「仕事」として関わることによって
ビートたけし と 北野武 のバランスが保たれているのではないだろうか。
だからこそ「火薬田ドン」の仕事も自分で楽しめるのではと
ひょうきん族世代の私は、勝手に解釈する。(いや、まったくのお角違いかも知れないけどね)
バイオレンス作品は好き嫌いが分かれるところだが、
エンタテインメント作品として、きっちり仕上がった1本だ。
「アウトレイジ ビヨンド」
10月6日(土) 公開
2012年日本ワーナー・ブラザース映画1時間52分
北野たけし監督・脚本・編集
ビートたけし、西田敏行、三浦友和、加瀬亮、松重豊、中野英雄ほか 出演
WORD WORK 矢代真紀(やしろまき)
1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。