映画のミカタ

「ストロベリーナイト」公開中

ああ、遅れましてすみません。

さかのぼること2010年秋、単発のスペシャルドラマが放送されたときに
↓キャスティングが奇跡的に濃ゆいわ~という記事をブログで書いた
http://wordwork.blog118.fc2.com/blog-entry-52.html
「ストロベリーナイト」が、その後すぐ連ドラになり、
高視聴率を博してこのたび映画化された。

スペシャル版の出番だけで殉死した桐谷健太が、
きっと一番残念に思っていることだろう。
だって、現「姫川班」レギュラーの小出恵介の役も丸山隆平の役も、
桐谷がやっても遜色なかったもんね、きっと。

ⓒ2013 フジテレビジョン S・D・P 東宝 共同テレビジョン FNS27社 光文社
※画像転載禁止  東宝配給 PG12指定
1月26日より札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほかで上映中
公式サイト=http://www.strawberrynight-movie.jp/

竹内結子が女優として一番輝くのは、
「強さ」を秘めた役であり、しかも「周りを男に囲まれている役」なのである。
たぶん実際も芯の強い人なのではないか。昔、インタビューしたときもそう感じた。
これまでのベストアクトは「ランチの女王」(元恋人役の森田剛も含め)。

だから、その要素を踏襲している姫川玲子役は、間違いなく当たり役なのだ。
しかも脇の男優がみんな芝居巧者。顔、濃すぎるけどね。

で、私はもちろん西島秀俊の菊田見たさで連ドラを見ていた。

この映画、女子にとっての最大の見どころは、
大沢演じるヤクザに惹かれていく姫川を見守る菊田の、
どうしようもなく切なすぎる表情である。うまい。

大沢たかおは、当然ながらフェロモン全開。
西島くんも色気のある役者だが、今回は気持ちを抑える演技のため、
色気対決は大沢に軍配が挙がる。

だからさー、こないだ放送された「インファナル・アフェア」の
日本版リメイクドラマも、西島くんの相手役ってカガテルじゃなくて
大沢が適役だったんじゃないの? もしくは萩原聖人とか。

私は原作の香港版(トニー・レオン×アンディ・ラウ)があまりに好きなので
歌舞伎に挑戦中のカガテルの顔が、あまりにも疲れてて
アップに耐えなかったことがものすごく残念だったのよね。
相手役さえ違ったら、原作のフィルム・ノワール感が出たのにと思う。

あ、話がそれた。
とにかく「ストロベリーナイト」の成功は、
隙のない”完全無欠のキャスティング”に尽きる。
誉田哲也の原作さえ書き継がれれば、続編もあり得るだろう。

「ストロベリーナイト」

1月26日 公開

2013年日本東宝2時間7分

佐藤祐市監督

竹内結子、西島秀俊、大沢たかお、小出恵介、丸山隆平、宇梶剛士、生瀬勝久、遠藤憲一、高嶋政宏ほか 出演

矢代真紀

WORD WORK  矢代真紀(やしろまき)

1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。