映画のミカタ

「ヒッチコック」公開中

4月上旬から公開中の映画「ヒッチコック」。

タイトルロールを演じたアンソニー・ホプキンスのソックリさん写真を、まずはご覧あれ。

わかるかな。これ「羊たちの沈黙」シリーズのレクター博士だよ。

このなりきりっぷり。ちなみに御年75歳。

ⓒ2012 Twentieth Century Fox ※画像転載禁止 20世紀フォックス映画配給

札幌シネマフロンティアほかで公開中

公式サイト=http://www.foxmovies.jp/hitchcock/

 

”サスペンスの神様”と呼ばれたイギリス人監督アルフレッド・ヒッチコックの人物像を

代表作の1本「サイコ」誕生までのいきさつを通して浮かび上がらせる手法が、効果的。

しかも1時間39分の尺にコンパクトにまとめ、無駄がない。

有名人をその生い立ちから伝記的に描く作品が多い中で、

こういう大胆な切り取り方でも、十分、人となりは伝わるってことを 証明してみせた秀作だと思う。

 

そして、ヒッチコックの全作品を陰で支え、家事も完璧にこなす

”出来過ぎる妻”アルマ役にヘレン・ミレン。 この夫婦の関係性がまた面白く描かれている。

「ニクソン」で大統領を演じたホプキンスと

「クィーン」のエリザベス女王役でオスカー受賞のミレンだもの、

こんな夫婦実際にいたら怖いわ!貫禄ありすぎやろ!  演技の完成度は、さすがです(当たり前)。

 

で、もうひとつ。音楽って大事よね。

あの♪チャッチャチャリラ、チャッチャラー♪

っていうヒッチコック劇場のテーマ(グノーの「操り人形の葬送行進曲」)

が流れただけで、知ってる人は頭にヒッチコックの名前が浮かぶもんね。

「サイコ」のシャワーシーンの音楽も、 本作の中でクローズアップされているんだけど、

やはり名を残す作品って、音楽もいいんだわね。

「007」のテーマしかり、「M:I」しかり。 特にシリーズものは、音楽がイメージを作る。

ちなみに「ダイ・ハード」シリーズが20年以上も続いてるのにあーいうテーマ曲がないのは、

やっぱ第1作の時のブルース・ウィリスが無名だったから予算がなかったのな?

と、先日、最新作を観て思ったのだった。…話がそれた。

 

観ると「へぇ、ヒッチコックってこんな人だったんだ」って思えて

ちょっと得した気になる、そんな映画。

「ヒッチコック」

4月6日 公開

2013年アメリカ20世紀フォックス映画1時間39分

サーシャ・ガヴァシ

アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、ジェシカ・ビールほか 出演

矢代真紀

WORD WORK  矢代真紀(やしろまき)

1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。