「ヒッチコック」公開中
2013.04.30
4月上旬から公開中の映画「ヒッチコック」。
タイトルロールを演じたアンソニー・ホプキンスのソックリさん写真を、まずはご覧あれ。
わかるかな。これ「羊たちの沈黙」シリーズのレクター博士だよ。
このなりきりっぷり。ちなみに御年75歳。
ⓒ2012 Twentieth Century Fox ※画像転載禁止 20世紀フォックス映画配給
札幌シネマフロンティアほかで公開中
公式サイト=http://www.foxmovies.jp/hitchcock/
”サスペンスの神様”と呼ばれたイギリス人監督アルフレッド・ヒッチコックの人物像を
代表作の1本「サイコ」誕生までのいきさつを通して浮かび上がらせる手法が、効果的。
しかも1時間39分の尺にコンパクトにまとめ、無駄がない。
有名人をその生い立ちから伝記的に描く作品が多い中で、
こういう大胆な切り取り方でも、十分、人となりは伝わるってことを 証明してみせた秀作だと思う。
そして、ヒッチコックの全作品を陰で支え、家事も完璧にこなす
”出来過ぎる妻”アルマ役にヘレン・ミレン。 この夫婦の関係性がまた面白く描かれている。
「ニクソン」で大統領を演じたホプキンスと
「クィーン」のエリザベス女王役でオスカー受賞のミレンだもの、
こんな夫婦実際にいたら怖いわ!貫禄ありすぎやろ! 演技の完成度は、さすがです(当たり前)。
で、もうひとつ。音楽って大事よね。
あの♪チャッチャチャリラ、チャッチャラー♪
っていうヒッチコック劇場のテーマ(グノーの「操り人形の葬送行進曲」)
が流れただけで、知ってる人は頭にヒッチコックの名前が浮かぶもんね。
「サイコ」のシャワーシーンの音楽も、 本作の中でクローズアップされているんだけど、
やはり名を残す作品って、音楽もいいんだわね。
「007」のテーマしかり、「M:I」しかり。 特にシリーズものは、音楽がイメージを作る。
ちなみに「ダイ・ハード」シリーズが20年以上も続いてるのにあーいうテーマ曲がないのは、
やっぱ第1作の時のブルース・ウィリスが無名だったから予算がなかったのな?
と、先日、最新作を観て思ったのだった。…話がそれた。
観ると「へぇ、ヒッチコックってこんな人だったんだ」って思えて
ちょっと得した気になる、そんな映画。
「ヒッチコック」
4月6日 公開
2013年アメリカ20世紀フォックス映画1時間39分
サーシャ・ガヴァシ
アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、ジェシカ・ビールほか 出演
WORD WORK 矢代真紀(やしろまき)
1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。