「ベルリンファイル」公開中
2013.08.07
公開当時、韓国映画の勢いを肌で感じた作品といえば
ハン・ソッキュ×ソン・ガンホ×チェ・ミンシクの共演によるスパイアクション「シュリ」(2000年)。
こんなの作れるなんてすごい、日本映画よりレベル高いじゃん!と、
観た後、興奮気味だったものである。
以来、韓流ブームとともに日本で公開される韓国作品は増え続けたが、
私の中では何を観ても「シュリ」の衝撃を超えなかったんだよね。
だがしかし、この「ベルリンファイル」には、それ以来と言ってもいい見ごたえを感じた。
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※画像転載禁止 CJ Entertainment Japan配給 PG12指定
札幌シネマフロンティアほかで公開中 公式サイト=http://berlinfile.jp/
ドイツの首都ベルリン。高級ホテルの一室で、武器取引の密談が交わされていた。
その様子を監視カメラで映し出すモニターを見つめるのは
韓国情報院の敏腕エージェント、ジンス(ハン・ソッキュ)。
モニターには、CIAやMI6のリストにすら記録がなく
”ゴースト”とされている北朝鮮の秘密工作員ジョンソン(ハ・ジョンウ)の姿があった。
ジンスの目的は、武器取引の資金の流れを追い、
かつてキム・ジョンイルが死去直前にヨーロッパに移した40憶ドルの秘密口座にありかを暴くこと。
しかし取引現場で銃撃戦が勃発し、ジンスはジョンソンを取り逃がしてしまう。
ストーリーの軸は、韓国と北朝鮮のスパイ合戦。
誰が誰を裏切っているのか、途中でわからなくなる展開と
手に汗握るアクションで見せる、エンタテインメント作品だ。
主演のジョンウは、ルックスが大鶴義丹に似ていて
彼のブレイク作品である「チェイサー」を私が見逃してることもあり、
個人的に途中からもう義丹にしか見えなくなって、ちょっと参った(笑)
ジョンソンの妻で、ベルリン北朝鮮大使館の通訳官を務めるジョンヒ役を
「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョンが演じている(相変わらず美しい)。
そして、「シュリ」から14年経っても、ソッキュの存在感は健在。
四角い顔で決してハンサムじゃないし、どこにでもいそうなのに
なんでこんなにスクリーン映えするのか、と出演作を観るたびに思う。
最初出てきたときはそうでもないんだけど、途中から、なぜか格好よく見えてくるから不思議!
だからこそ、14年経ってもこうしてキャスティングされるんだろうなと。
南北朝鮮のスパイ問題以外にもイスラエル情報局とか、CIA局員とか、ロシア人ブローカーとか
複雑な要素が多々からみあっている割には、それぞれのキャラが立っていて、比較的わかりやすく作られている。
で、観た後やっぱり思うのだ。
韓国映画で、本作のようなハリウッド大作的スケールの作品が撮れるんだから
邦画でも、やってできないことはないんじゃないかと。
テレビドラマの延長ではなく、CGに頼るのでもなく、
「日本映画の歴史を変えた」と言われるような平成作品に、そろそろ出合いたい。
「ベルリンファイル」
7月13日 公開
2013年韓国CJ Entertainment Japan2時間
リュ・スンワン監督・脚本
ハ・ジョンウ、ハン・ソッキュ、チョン・ジヒョン、リュ・スンボムほか 出演
WORD WORK 矢代真紀(やしろまき)
1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。