映画のミカタ

「貞子3D2」瀧本美織さん&英 勉監督インタビュー 8月30日(金)公開

まさに納涼の季節、貞子が再び帰ってくる!

しかも「スマ4D版って何なの?」と思っている方も多いことでしょう。

 

なんと「貞子3D2」のキャンペーンで来札された、主演の瀧本美織さんと英勉(はなぶさ・つとむ)監督が

この「映画のミカタ」のために、インタビューの時間を割いて下さいました!

(配給・宣伝担当の皆さま、寛大な所属事務所の方々に心から御礼申し上げます)

 

監督とは昨年、前作「貞子3D2」のキャンペーンでお会いして以来、

瀧本さんとは先日、声優に初挑戦された「風立ちぬ」の月刊「poroco」インタビューでお会いしたばかり。

2カ月連続で同じ俳優さんにインタビューする経験は、初めてのことでした。

▲監督はこのようにわざと顔をつくって下さる、きさくな方です。手に持った貞子人形を「さだやん」と呼んでいました。

 

では、おふたりの生の声をお届けします!(聞き手は私です)

――確か、瀧本さんは怖いの苦手でしたよね?

ヒロイン楓子(ふうこ)役のオファーがあった時、正直どう思われましたか?

瀧本 「そうなんです、すごく怖がりで、出演した今も、克服できていません(笑)

自分でもできるとは思えない、でも挑戦してみようと思いました。

役の上でも笑顔のシーンがないので、現場でもほとんど笑いませんでしたね」

 

――前作のヒロイン・石原さとみさんが「叫ぶ」演技だったのに対して、瀧本さんは声にならない「震え」で

恐怖感を表現されていて、確かに怖いと声も出ないよな、リアルだなと思いました。

とくに楓子がベッドの下に隠れるシーンは、観ていて本当に怖かったです。

瀧本 「あそこは自分でもかなり集中して演じたシーンです。

人って、本当に怖いとベッドの下に潜っちゃうんだな、と思いましたね(笑)」

 

――しかも私は「スマ4D」で拝見したので、あのシーンで背中に悪寒が走って、

そのうちスマホがブルブル震えだすので、もう自分の悪寒でぞわぞわするのか、

震動でぞわぞわしてるのか、わからなくなりました。

監督 「しかも、あのシーンで楓子がベッドの下から見ているものは実際に現場にはなくて、

僕が口頭で一度説明しただけだったんですよ。それで一発OKでした」

――すごい!!

瀧本 「でも、あの1回しかできなかったんじゃないかと思うくらい、自分でも集中力を使いました。

今振り返っても、思い出深いシーンですね」

(C)2013『貞子3D2』製作委員会   ※画像転載禁止

 

――それから、子供を抱いた楓子が海辺の吊り橋をわたるシーンがありましたが、

あれは実際に渡られたんですか?

監督 「そうです、場所は伊豆です。でも思ったより子供を手すりから(海側に)出してたよね!

こっちも止めないし」

瀧本 「橋も思ったより高いんですよ。でも、そんなふうに”入っちゃってる”シーンでしたからね」

監督 「子役の宏々路(こころ)ちゃんのお母さん、あのシーンモニターで見ながら怖くて泣いてたらしいよ」

瀧本 「ええーーーーっ、ほんとですか? 知らなかった……」

 

――クライマックスの、井戸から血が吹き出るシーンは、濡れながらの撮影でしたか?

監督 「丸2日間、ひがな1日、水に入りっぱなしでしたね」

瀧本 「ストーブで乾かしながら。お風呂に入って温まってから帰ってました」

監督 「しかもね、肌が赤く染まるんですよ、アハハハハハ」

瀧本 「いや監督、めっちゃ笑ってますけど、あれ、取れなかったんですから!!

毛穴から色素が入ってしまって、2週間たっても手のひらとか足とか赤かったんですよ」

監督 「あれは本当に申し訳なかったと思ってます。いちばん染まりにくいはずの軽めのを選んだんですけどね」

瀧本 「スタッフさんも全員入りっぱなしだったので、苦労を分かち合いました」

――子役はオーディションだったんですか?

監督 「そうです。たくさん会いましたが、この役ができるのは彼女しかいない、と思いました」

瀧本 「小さいけれどプロでしたね。ON/OFFがはっきりしてて。顔の見え方の角度も考えたり。

でも、井戸の血の海のシーンだけは、怖くて入れずに泣いてました。

やはり背が小さいので、怖かったんでしょうね。終わったらケロっとしてましたけど」

監督 「隅っこで宏々(ここ)ちゃんがひとりで凹んでたことがあって、

『宏々ちゃんどうしたの、なんかあったの?暗いね』と話しかけたら、

『いま気持ち作ってるの!』と言われて。スミマセーン、僕、邪魔しましたねー、みたいな」

一同大爆笑!!

瀧本 「すごい!っていうか監督、完全に邪魔してるじゃないですか!(笑) 知らなかったなあ」

――螺旋階段、腕に現れる傷。。。今回の作品のビジュアルには

「らせん」や「リング」をイメージさせるモチーフが全編を通して出てきていますよね。

監督 「そうですね、オープニングはDNAの図から始まりますし」

――さらには胎内や産道を想起するつくりだなと思いながら拝見しました。

監督 「はい、細胞分裂や増殖も意識しながら。シリーズ10作観たらすべての謎が解けるというのはどうでしょう」

瀧本 「わあ、すっごく時間がかかりそう(笑)」

 

――今回、映画館でスマホの電源を入れて楽しむという、

世界初の「スマ4D」の試みについて少しお話を伺えますか?

監督 「前作は3Dでの製作がひとつの挑戦でしたが、ただその続編を作るんじゃなく、

何か新しい取り組みをとみんなで考えていた中で、スマホを使うところに行きつきました。

映画館で、映画というメディアが新しい楽しみ方を提供できるアトラクションとしての

一体型、参加型の方法を考えました。でも技術的にすごく難しかったんですよ。

役者さんの演技はちゃんと観てもらわなくちゃいけないので、

せっかく演技している時にスマホをいじられたら意味がないし」

――そうならないように綿密に計算されているなと思いました。

これは脚本の段階からそのように書いたということですか?

監督 「そうです、そうです」

 

――スマ4Dという新分野まで開拓してしまった監督の、次なる野望は?

監督 「もちろん、瀧本さんに再登板してもらって今度こそ恐怖を克服してもらうことです!」

瀧本 「ええええ! 乗り越えるまでってことですか。たいへん!永遠に続きそう」

――たぶん、これ大ヒットしますから、続編もありますよきっと。

監督 「あ、言いましたね。それ録音しましたからね!」

――はい。本当にありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

「貞子3D2」

8月30日 公開

2013年日本角川書店1時間36分

英 勉監督

瀧本美織、瀬戸康史、平澤宏々路、山本裕典ほか 出演

矢代真紀

WORD WORK  矢代真紀(やしろまき)

1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。