映画のミカタ

「アメイジング・スパイダーマン」

1962年、アメリカのマーベル・コミックに初めてスパイダーマンが登場してから、

50周年の記念すべき今年、公開される新作「アメイジング・スパイダーマン」。

 

2002年~2007年に上映された「スパイダーマン1~3」とは

スタッフもキャストも一新しておくる、新シリーズである。

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給 ※画像転載禁止

札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほかで6月30日(土)より公開。

公式サイト=http://www.amazing-spiderman.jp/

 

主人公は、8歳の時に両親が謎の失踪を遂げ、

伯父夫婦に育てられたピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)。

科学者だった父に似て成績も良く、自分も科学が得意だ。

内気な性格で、同じ高校に通うグウェン(エマ・ストーン)に

密かに想いを寄せる、普通のティーンエイジャーだった。

 

ある日、地下室で父親の研究ノートを見つけたピーターは、

かつて父の共同経営者だったコナーズ博士(リース・イーヴァンズ)に会うため

オズコープ社を訪ねる。そこで特殊なクモに咬まれ、その直後から

ピーターの身体に異変が起こる…。

写真が、熾烈なオーディションを勝ち抜いて、

ピーター役に大抜擢されたガーフィールド。呼びづらいから、ガーくんでいい?

どこかで見た顔だな、、と思いながら見終わり、プレスシートを読んで納得。

「ソーシャル・ネットワーク」で、主人公マーク・ザッカーバーグの友人で

共同創業者役エドゥアルドを演じた若手だった。

現代っ子らしく女優に負けず劣らず顔が小さく、かけたメガネが大きく見えてしまうほどだ。

 

アメコミ原作の映画は、「バットマン」シリーズの例を挙げるまでもなく

日本ではこれまで、なかなかヒットしづらい傾向にあった。

本国では爆発的に当たっても、やはりキャラクターに思い入れが少ないことと、

日本人の笑いのツボが欧米とは違うこと、ギャグの翻訳の難しさによって、

長らくそのハードルは高かった。

 

なのに、それを覆してこの「スパイダーマン」シリーズが日本で大ヒットしたのは、

ひとえに主人公ピーターの”性格”によるものなのではないかと思うのである。

前シリーズではトビー・マグワイアがピーターを演じていたのだが、

超人的な能力を身につけながらも、どこか優柔不断でぐずぐずしてて、

およそスーパーヒーローっぽくない性格だった。

 

逆に言えば人間味のある「苦悩するヒーロー像」が、

本国ではもちろん、日本人の親近感をも呼だのだろう。

童顔にマグワイアの容姿がまた、その性格にぴったしだったのだ。

 

が、2002年のシリーズスタート時には20代だったマグワイアも、今やアラフォー。

今回の新シリーズではさらに話をさかのぼり、

「スパイダーマン誕生の秘密」を描くにあたっては年齢的に無理がある。

そこで、ガーくんに白羽の矢が立ったというわけだ。

 

新作は、これまでのシリーズのファンが観ても、ここから初めて観ても

いずれの観客の期待も裏切らないエンタテインメントに仕上がっており、

文句なし。またシリーズとして続編が撮られるに違いない。

いい役もらったなー、ガーくん。

 

ちなみに本作は3Dであるが、いかんせん私は

業務試写室の小スクリーンで観たたる、これに関しては

大スクリーンで観る迫力とは違う気がするので、言及しない。

ぜひ、映画館で自分の目で確かめてみてほしい。

「アメイジング・スパイダーマン」

6月30日 公開

2012年アメリカソニー・ピクチャーズ エンタテインメント2時間16分

マーク・ウェブ監督

アンドリュー・ガーフィールド、マーティン・シーン、エマ・ストーンほか 出演

矢代真紀

WORD WORK  矢代真紀(やしろまき)

1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。