映画のミカタ

「一枚のめぐり逢い」

正統派ラブストーリー「一枚のめぐり逢い」。

 

イラクの戦場に赴いたローガン(ザック・エフロン)は、殺伐とした戦地で 一枚の写真を拾った。

ひとりの美しい女性が写ったもので、 それを拾って以来、ローガンは写真に守られているかのように

危険な目に遭っても奇跡的に生き延びて、帰国する。

しかし帰国後も戦争から受けた心の傷は深く、 親類のもとを去ったローガンは、

背景に写る灯台を頼りに、 愛犬とともに写真の女性を探す旅に出ることに。

たどり着いたルイジアナ州で、写真の女性は 犬のトレーニング施設を切り盛りする

シングルマザーのベス(テイラー・シリング)だと分かり、彼女を訪ねるローガン。

しかし、ベスは、ローガンを スタッフ応募にやってきたものと勘違いする…。

ⓒ2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ※画像転載禁止

ワーナー・ブラザース映画配給

札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほかで6月16日(土)より公開中

公式サイト=http://wwws.warnerbros.co.jp/theluckyone/index.html

 

名作「シャイン」(1996年)を手掛けた、スコット・ヒックス監督の新作。

同名の小説を原作に、互いに複雑な事情を抱えた男女のロマンスを描く。

主演のエフロンは、丸顔で完全な二枚目ではないが、 ニューイヤーズ・イブ」でも見せていた、

純で人懐っこい笑顔が魅力。

芯の強そうな表情を見せるシリングとは好対照で、 なかなか新鮮な顔合わせだった。

「拾った写真に導かれて、身も知らぬ女性と出会う」という設定自体、 現実には考えにくい。

でも、だからこそ逆に、 物語の世界にすんなり入り込める場合もあると思う。

そのストーリーに合わせて、 ヒックス監督の演出、撮影、音楽等、今回はすべてが「王道」的だ。

日本語として違和感がある邦題に関してはやや不満だが、

ローガンとベスの距離が近づいたり離れたりする展開を見守ることで、

恋愛映画ならではのドキドキする醍醐味を、きっと感じられると思う。

「一枚のめぐり逢い」

6月16日 公開

2012年アメリカワーナー・ブラザース映画1時間41分

スコット・ヒックス監督

ザック・エフロン、テイラー・シリングほか 出演

矢代真紀

WORD WORK  矢代真紀(やしろまき)

1968年、稚内生まれ、札幌在住の映画ライター。
編集プロダクション兼出版社に12年間勤務し、2001年に独立。
これまで23年間札幌の試写室に通い、作品紹介やインタビュー原稿を執筆。